日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒャクニチソウ管状要素分化過程におけるヒストン修飾と遺伝子発現
*貴舩 永津子出村 拓福田 裕穂
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p. 0400

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抄録
植物細胞の分化過程におけるクロマチンの動態および遺伝子の発現変動に関する新たな知見を得るために、ヒャクニチソウ単離葉肉細胞培養系を用いて、培養開始後時間の経過に伴うヒストン修飾の変動を調べた。その結果、ヒストンH3のアセチル化レベルは培養開始後に上昇し、分化の方向性が決定づけられると考えられる時期に下がることがわかった。また、管状要素分化に対するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤TSAの与える影響を観察したところ、阻害剤の濃度および添加のタイミングに依存的に分化が抑制され、特に分化の方向性が定められると考えられる時期に添加したとき最も分化が抑制された。これにより、管状要素分化過程におけるヒストンアセチル化/脱アセチル化の制御の重要性が示唆された。さらに、ヒャクニチソウジーンチップを用いて、TSA添加が遺伝子発現に与える影響を網羅的に調べた。その結果、TSA 添加から6時間後に約500の遺伝子が、阻害剤未添加のコントロールと比較して5倍以上の高発現を示した。また、63の転写因子が2倍以上の高発現を示した。これらの結果を基に、管状要素への分化過程における遺伝子発現の制御とクロマチン修飾の関連について考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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