日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナacaulis1 変異は病原菌抵抗性経路の遺伝子を通して植物形態に影響を与える
*鎌田 直子米田 好文
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p. 0420

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抄録
シロイヌナズナacaulis1 (acl1)変異体は、花茎伸長に欠損のある変異体として単離され、花茎長が短い他にも葉が小さく縮れるなどの形態異常を示す。acl1表現型の特徴として、通常の生育温度である22℃よりも高温の26℃以上で育てた植物体では変異表現型が抑制されること、培地中の窒素栄養条件により植物サイズが変化することが挙げられる。
acl1同様に、高温下で形態が回復する変異体では、サリチル酸を介した病原菌抵抗性経路の活性化が引き起こされている例がある。acl1変異体での抵抗性に関わる遺伝子の発現レベルは、形態異常が顕著に現れる生育条件下では高く、高温や窒素栄養により表現型が抑制されている条件下では、表現型の抑制の度合いに応じて低いことがわかった。また、抵抗性経路で重要な役割を担うPAD4遺伝子の変異によりacl1表現型は抑制される。これらの結果から、acl1変異に起因する温度・窒素栄養依存的な植物の形態異常は、温度・窒素栄養条件により制御を受けるサリチル酸を介した病原菌抵抗性経路の遺伝子の機能・活性に依存する事が示唆される。
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© 2010 日本植物生理学会
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