抄録
Liイオン二次電池の新しい正極材料の候補であるLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2を合成し、高出力化や安定性に関与する重要な因子である結晶構造とLi拡散経路を中性子回折法により検討した。結晶構造は空間群がR-3mであり、3a、3b、6cの各サイトを各々Li、(Co, Ni, Mn)、酸素が占める。Liサイトの一部にNiが入り込んでおり、その置換率は約3.8%と見積られた。MEM解析の結果、c軸に平行な面上でLi密度分布が広がりを見せ、Liは3a-9e-3aサイトを経由して伝導していることが分かった。