日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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光合成細菌のゲラニルゲラニル還元酵素(GGR)は環構造によって還元様式が異なる
*原田 二朗溝口 正宮郷 正平古園 英一浅井 智広民秋 均大岡 宏造
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p. 0462

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抄録
緑色硫黄細菌の反応中心内には、C-17位の側鎖としてΔ2-フタエニル基=フィチル(P)基をもつバクテリオクロロフィル(BChl) aPとΔ2,6-フタジエニル(PD)基をもつクロロフィル(Chl) aPD の2種類の色素が存在する。これらの側鎖は、Δ2,6,10,14-フタテトラエニル基=ゲラニルゲラニル(GG)基を前駆体とし、二重結合が順次還元されて合成される。昨年度までに、緑色硫黄細菌Chlorobaculum tepidumのGGR遺伝子欠損株がBChl aGGとChl aGGを蓄積したことから、このGGRが両方の色素のGGの還元に関与することを報告した。今回、その欠損株にシアノバクテリアと紅色細菌のGGR遺伝子(それぞれchlPbchP )を導入し、色素組成の解析を行った。chlP 導入株においてはChl aPとBChl aPに加え、前駆体BChl aGGからの還元過程で生じる中間産物の蓄積が検出された。中間体の解析からBChl aGGが還元される順番は、紅色細菌においてBChl aGGが還元される順番と同じであることが分かった。一方bchP 導入株ではChl aPとBChl aPに加え、前駆体Chl aGGの還元中間産物が検出された。しかしながらChl aに結合したGGは、BChl aGGとは異なる順番で還元されていた。発表では異なる種のGGR還元特性について議論する。
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© 2010 日本植物生理学会
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