日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの気孔形成過程におけるCYCD4の機能解析
*奥島 葉子天野 廣海安達 澄子梅田 正明
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p. 0530

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抄録
シロイヌナズナのD4型サイクリン(CYCD4)は胚軸の上部で気孔形成に先立つ細胞分裂を促進する働きを持つ。CYCDは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と複合体を形成してその活性を正に制御し、細胞周期の進行を主にG1/S期移行の時点で促進すると考えられているが、CYCD4が気孔形成過程で果たす役割はよくわかっていない。その一方で、シロイヌナズナの気孔形成過程においてはSPEECHLESS (SPCH)、MUTE、FAMA といった転写因子が段階的に働いて原表皮細胞からの気孔の形成を制御していることが知られている。さらに、SPCHがYODAから始まるMAPKカスケードの下流でリン酸化されることにより、タンパク質レベルでの機能抑制制御を受けることも報告されている。本研究では、CYCD4とこれら気孔形成を制御する因子との関連性に注目した解析を行った。CYCD4過剰発現体の胚軸では、気孔が形成される非突出細胞列において細胞分裂が亢進するが、この表現型はspch変異体では顕著に抑制された。さらに、このCYCD4過剰発現体の表現型はmuteおよびfama変異体の背景でも抑制されたことから、CYCD4は気孔形成の初期段階だけではなく、それ以降の段階でも何らかの機能を持っていることが示唆される。さらに、CYCD4-CDK複合体は、これら気孔形成を制御する因子の一部をリン酸化する可能性が示された。
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© 2010 日本植物生理学会
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