日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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新規WD40リピートタンパク質遺伝子RID3の頂端分裂組織形成におけるはたらき
*西駕 俊祐玉置 裕章杉山 宗隆
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p. 0538

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抄録

植物のほぼ全ての器官は頂端分裂組織から生じることから、頂端分裂組織の発生の理解は、植物の発生を理解する上でとくに重要であると言える。植物組織片からの器官再生は、頂端分裂組織の新生を経るため、その解明は頂端分裂組織形成機構の理解に大いに寄与することが期待される。我々はシロイヌナズナを材料に用い、器官再生を指標として、温度感受性突然変異体を多数単離し、解析を進めてきた。その一つrid3は、制限温度下で不定根形成やシュート再生の不全を示し、頂端分裂組織の新形成に必要な細胞増殖統御に欠陥があると考えられる。責任遺伝子のRID3については、WD40リピートタンパク質をコードしていること、シュート再生過程ではカルス形成時に発現が上昇し、茎頂分裂組織形成に先立って局所的に発現が低下することなどを明らかにしている。今回は、胚発生とRID3との関係に注目し、遺伝子発現等の解析を行ったので、その結果を報告する。胚発生過程におけるRID3遺伝子および頂端分裂組織関連遺伝子の発現パターンとrid3変異の影響を調べたところ、RID3は胚発生の最初期から発現していること、rid3変異体では頂端分裂組織の形成や維持に関わる多くの遺伝子の発現パターンが変化し、形態形成が異常になっていることがわかった。この結果は、RID3が器官再生だけではなく胚発生においても、頂端分裂組織形成に関与していることを示している。

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© 2010 日本植物生理学会
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