抄録
rrd1、rrd2、rid4は、不定根形成を指標に単離したシロイヌナズナ温度感受性変異体の一グループで、基本的な細胞増殖に関わる現象全般に不完全な温度感受性を示す点と、制限温度下で帯化した側根を形成する点に特徴がある。この帯化根形成については、半同調的側根形成誘導系を用いた温度シフト実験などから、側根原基形成開始時の細胞分裂域の拡大に起因していることが示されている。また責任遺伝子については、RRD1がポリA特異的リボヌクレアーゼ様タンパク質、RID4がペンタトリコペプチドリピートタンパク質をコードすることが明らかになっている。
帯化根は初期に拡大した分裂域を保持したまま発達していくが、このとき根の組織構造がどうなっているかは、形態形成機構を考える上でも興味深い。現在、この問題に関し、組織特異的レポーター等を用いて検討中であり、中心柱の細胞列の増加を示唆する結果を得ている。DR5::GUSなどのオーキシン関連レポーターによる解析も準備中であり、合わせて結果を報告する予定である。
制限温度条件で結実させた各変異体やT-DNA挿入系統の観察からは、どの遺伝子機能も正常な胚発生に必要であることが示唆された。胚発生の表現型に関しては、二重変異体の解析も進めており、rrd2がrrd1のエンハンサーとなることなどがわかってきている。これらの結果から、遺伝子間の機能的関係についても考察したい。