抄録
植物細胞における主な細胞骨格である微小管とアクチン繊維は、細胞質糸、プリプロフェーズバンド、フラグモプラストなどにおいて、近接して存在することから、両者の相互作用が核のポジショニングや細胞質分裂の制御に重要な役割を果たすことが予想される。高等植物は非常に多種類のキネシン様蛋白質を持つことが知られている。これらのうち、キネシン14のサブグループを構成するCH(calponin homology)ドメインを持つキネシン(KCHs)のいくつかが、微小管とアクチン繊維に結合することが報告されているが、これらの細胞内における機能の詳細は明らかではない。演者らは、タバコBY-2細胞からTBK1、TBK2、TBK9、TBK11の4種類のKCHsの全長cDNAをクローニングした。GFP融合蛋白質の細胞内分布をRFPチューブリンとの共発現により調べたところ、TBK9は細胞質糸やフラグモプラストにおいて繊維状の分布を示し、その一部は微小管に沿っていたが、TBK11は繊維状の分布は示さず核膜に分布した。現在、これらのGFP-KCHsのアクチン繊維との共局在を調べるために、RFP-AtFIM1との共発現株の作出を行っている。また、これらのGFP-KCHsの部分欠損蛋白質、モータードメインのrigor変異導入蛋白質の誘導発現による機能阻害実験を試みているので、その結果についても合わせて報告したい。