日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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症例
正中弓状靭帯圧迫に続発した膵十二指腸動脈瘤に対してステントグラフト治療により血流を制御した1例
須藤 優太郎 森景 則保溝口 高弘佐村 誠原田 剛佑濱野 公一
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2020 年 29 巻 2 号 p. 75-79

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抄録

今回われわれは正中弓状靭帯圧迫による腹腔動脈の高度狭窄を伴った下膵十二指腸動脈瘤に対してステントグラフトを用いた血管内治療を施行したので報告する.症例は60歳の男性.他院の腹部CT検査で偶然に下膵十二指腸動脈瘤を認め当科紹介となった.動脈瘤は下膵十二指腸動脈起始部に存在し,最大径20 mmであった.また,正中弓状靭帯圧迫により腹腔動脈は高度狭窄を認めた.手術は,両側上腕動脈アプローチとし,下膵十二指腸動脈起始部を閉鎖するよう上腸間膜動脈にViabahn VBXを留置し,腹腔動脈より挿入したマイクロカテーテルから機械式離脱式コイルにより動脈瘤中枢末梢のisolationと動脈瘤のpackingを行った.最後に高度の狭窄を認めた腹腔動脈起始部へViabahn VBXを留置した.術後6カ月目のMRI検査ではステントグラフトは開存しており,瘤内へ血流はなく,瘤径の拡大も認めなかった.

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