日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネの葯におけるアクアポリンOsPIP1,2の発現と局在
*劉 成偉伊藤 耕太松本 直斎藤 維友北川 良親岩崎 郁子
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p. 0630

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抄録
アクアポリンは動植物、微生物を含め生体膜に存在する主要なタンパク質のひとつであり、水の透過孔(水チャネル)を形成し、生物体内の水の流れ、細胞の浸透圧調節などに重要な役割を果たしている。
私たちは、イネの穎花の葯におけるアクアポリン遺伝子OsPIP1および2群の発現について調べた。葯では花粉母細胞は減数分裂、4分子期、小胞子期(前期と後期)を経て成熟花粉となる。やがて葯は裂開して花粉は飛散し、柱頭への受粉にいたる。本研究では、花粉細胞の発達過程の時間軸にそったOsPIP1および2群の発現変化と局在について調べた。特に、2群に較べて明瞭な水透過活性を確認できない1群の1つであるOsPIP1;3は、葯腔内に空気が出現する2~3細胞期に発現量が増加した。この時期の葯について、免疫電顕によるOsPIP1;3の局在を観察したところ、花粉の細胞膜の内側近傍に分布が観察されたが、細胞膜上には明確に確認することができなかった。また、葯腔内の中層細胞(花粉細胞側に面している)においても、同様に細胞膜の内側近傍にOsPIP1;3の局在が観察された。冷温等のストレスを与えた葯では、OsPIP1;3の分布の増加が見られた。
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© 2010 日本植物生理学会
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