2021 年 103 巻 2 号 p. 156-160
京都府京丹波町質美に設定した1 haのマツタケ試験地において,1963年当時25年生のアカマツ天然林に環境調節(マツタケ発生環境整備施業:植生の手入れ,地表の腐植のかき取り)を行い,その後1998年までの36年間に形成されたマツタケのシロの分布と子実体の発生状況について調査した。その結果,1964年までに確認された12個のシロは,尾根筋とその周辺部の限られたところに集中的に形成された。次に山腹上部から中部にかけてシロが形成され,1970~1978年に確認したシロは約3/4が山腹上部より下に形成された。シロはさらに山腹下部に形成され,林齢45年生になった1983年から1988年にかけて形成された9個のシロは全て山腹中部~下部に形成された。シロ形成は1993年まで確認された。新たなシロは既存のシロの斜面下方に形成されることが多く,マツタケ発生環境整備施業は,既存のシロの斜面下方に実施することが有効と考えられた。