抄録
Andropogon(和名、メリケンカルカヤ)は、Al、Zn、diamideなどの多種のストレスに耐性を示す野生植物であり、これらに共通したストレス耐性機構や応答機構を解析する上で適したモデル植物と言える。我々はまず、Andropogonに対して、Alストレス付与時に誘導が起こる遺伝子群の単離をfinger print法で試みた。その結果、6つの候補遺伝子を得たが、その内の1つ(AP18-2-1)は、ABC transporterをコードする遺伝子と相同性を示した。一方でAndropogon由来のcDNA libraryより、多種のストレスに耐性を示す遺伝子群の単離も試みた。この中にはS-adenosyl methionine syntaseをコードするクローン(#3A-4)が含まれていた。さらにこの遺伝子と高い相同性を持つイネの完全長cDNAを持つ酵母形質転換体はAl、Zn、diamideに対して耐性を示した。また、Real time-PCRで両遺伝子の発現パターンを解析したところ、Alストレスによる誘導が両者の根で確認された他、AP18-2-1は根でdiamideでも、#3A-4は根でCu、Zn、diamideでも誘導が見られた。現在、これらの遺伝子の完全長cDNAの単離を試み、多種ストレスにおける機能解析を進めようとしている。