日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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EDR1は非宿主抵抗反応におけるディフェンシンの発現誘導に必要である
*晝間 敬西内 巧加藤 智朗奥野 哲郎高野 義孝
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p. 0713

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抄録
シロイヌナズナは、炭疽病菌に対して侵入阻止型の非宿主抵抗性を示す.これまでに、プロテインキナーゼであるEDR1が、この非宿主抵抗性に関与していることを明らかにしている.今回、EDR1が関わる抵抗性メカニズムの実態を理解するために、マイクロアレイによってedr1変異体の発現プロファイリングをおこなった.その結果、edr1変異体において、4種類のディフェンシン遺伝子の発現が顕著に低下していた.定量的RT-PCR解析より、野生型においては、不適応型菌接種によってディフェンシンの発現が誘導される一方、edr1変異体では誘導されないことが判明し、病原菌接種によるディフェンシン誘導にEDR1が必要であることが示唆された.MYC2は、ディフェンシンの発現を負に制御しているが、edr1 myc2二重変異体においては、edr1変異体と比較して、ディフェンシンの発現増大が観察された.また、二重変異体においては、edr1変異体と比較して、不適応型菌の侵入率の低下が観察された.さらに、edr1変異体においてディフェンシンを過剰発現させた場合、edr1 myc2二重変異体と同様に、侵入阻止型抵抗性の回復が観察された.以上の結果より、EDR1はディフェンシンの発現誘導に関与し、この発現誘導が、侵入阻止型抵抗性において、重要な役割を果たしていることが強く示唆された.
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© 2010 日本植物生理学会
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