抄録
遺伝子発現パターンの類似性は, 遺伝子の発現制御機構や生物学的機能, 関与する代謝パスウェイなどを推定する上で重要な指標となる. 現在, 多くのマイクロアレイ実験データがNCBI GEOなどの公開データベース上に蓄積されており, 多様なサンプルに由来する大規模な遺伝子発現データの比較が可能となっている.
そこで, 当プロジェクトでは, イネにおいて類似の発現パターンを示す遺伝子セットを選抜するために, 遺伝子発現ネットワークを構築した. まず, NCBI GEOデータベースより, Affymetrix社 GeneChip Rice Genome Arrayから得られたマイクロアレイ実験データを収集した(計244サンプル). 次に, 発現強度を正規化した後に, すべてのプローブ・ペア間で相関係数を算出した. そして, 相関係数およびその他の統計情報を用い, 遺伝子発現ネットワークを構築した. 得られた情報は, データベースOryzaExpress(http://riceball.lab.nig.ac.jp/oryzaexpress/)に格納しており, 対話型のグラフィカルビューアーを通して閲覧が可能である. また, 遺伝子の機能アノテーションから検索ができる.