抄録
多くの植物は塩ストレスに弱くシロイヌナズナでは200mM NaClの塩ストレスにより生育阻害を受ける。しかし、海草アマモ(Zostera marina)は単子葉植物でありながら海水中(約500mM NaCl)に生育している。アマモから耐塩性に関わる遺伝子を探索するため大腸菌を用いてスクリーニング行った結果、十数種の候補遺伝子を得た(大堀ら, 2009年大会)。アミノ酸配列を解析したところ、候補遺伝子のうち1つはサイクロフィリンの活性に必要な保存モチーフを持っており、このサイクロフィリン様遺伝子をZmCyp1と仮称した。ディプロイドノックアウト法により、出芽酵母ena1破壊株(200mM NaCl感受性株)を作製した。ena1破壊株にADHプロモーター下でZmCyp1を発現させたところ、約170mM(1%)NaCl添加培地上で生育が回復した。現在35Sプロモーター下でZmCyp1を過剰発現させたシロイヌナズナを用いて塩・乾燥ストレスによる影響を調べている。