抄録
理化学研究所バイオリソースセンター(BRC)では、世界各地で単離されたシロイヌナズナアクセッションを仙台アラビドプシス種子保存センター(SASSC)から移管を受けて、系統管理し研究者への種子の分譲を行っている(http://sassc.epd.brc.riken.jp/sassc/create_search_panel2.php?mode=general)。これらシロイヌナズナ野生株は、自然変異を伴ってそれぞれの環境に適応し生存してきており、環境適応と自然変異との関係を調べることができる重要な材料であると考えている。
我々は、これらシロイヌナズナ野生株の表現型情報を取得する試みを行った。表現型情報として環境ストレスへの応答に着目し、今回はマニトールによる浸透圧ストレスに対する応答を調べた。方法は、マニトールを含むあるいは含まない培地で一定期間育成した後、根長の比較を行うというものである。この結果、試験したシロイヌナズナ野生株の中にはマニトールを含む培地でも良好に根の伸長を示す野生株や、逆に生育が著しく阻害される野生株が存在していた。今後、この表現型情報をもとに自然変異との関係を解析することが可能であると考えている。現在、表現型情報の公開を行うべくデーターベースの作製を行っている。