日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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スギ雄花特異的遺伝子の転写調節領域を用いた雄性不稔組換えスギ作出技術の開発
*栗田 学谷口 亨渡邉 敦史
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p. 0983

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抄録
スギ(Cryptomeria japonica D. Don)は、わが国の主要な林業樹種である。目的形質のみ付与できる遺伝子組換え技術は、育種年月の短縮等、林木育種に大きく貢献する可能性がある。しかし組換え体を野外で栽培するにあたり導入遺伝子の同種野生植物への拡散が懸念されている。そこで現在、導入遺伝子の拡散防止技術として遺伝子組換えによるスギの雄性不稔化を試みている。
ポプラ等において、花器官特異的な発現を司る転写調節領域にRNase等の遺伝子をつないだ構築物を導入して雄性不稔個体の作出に成功している。我々はスギにおいて同様の手法を試みた。サブトラクション法により、雄花特異的発現を示す7遺伝子の単離に成功した。またTAIL-PCR法によってそれら遺伝子の転写調節領域を単離し、GUS遺伝子を連結してシロイヌナズナ及びスギに導入した。その結果1009-C47あるいは1009-C96遺伝子の転写調節領域を用いた場合、シロイヌナズナ及びスギのタペート細胞で強いGUS活性が確認された。また同転写調節領域をBarnase 遺伝子に連結してシロイヌナズナ及びスギへの導入を行っている。形質転換シロイヌナズナの花粉形成能の評価結果、ならびにスギ組換え体作出の進歩状況を報告する。
本研究の一部は、農林水産省「遺伝子組換え生物の産業利用における安全性確保総合研究」の一環としておこなった。
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© 2010 日本植物生理学会
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