抄録
RNAサイレンシング経路においてAGO遺伝子は中心的な役割を果たしている。今回、我々はシロイヌナズナAGO2およびAGO5に取り込まれているsmall RNAを解析した。興味深いことに、AGO2、AGO5に取り込まれていたsmall RNAの大部分は5'末端の塩基はそれぞれアデニン、シトシンであった。AGO2の区では、miR163-LL、miR390、miR172が、そしてAGO5の区では、miR163-UL、miR390*が多くクローニングされた。免疫沈降/ノーザン解析によって、それぞれのsmall RNAとAGO2,AGO5との特異的結合が確認された。miR163-LLとmiR163-UL、またmiR390とmiR390*はそれぞれひとつの二本鎖small RNAに由来する。人為的に5'末端の塩基を逆置換作成したmiRNAとの結合実験を行ってみると、AGO2,AGO5は逆鎖側の人為smallRNAと結合するようになった。このことから、AGO2およびAGO5は末端の塩基を認識してsmall RNA鎖を選択的に取り込むことが明らかとなった。以上の結果は、同一の二本鎖small RNAからでもAGO2とAGO5の間で、取り込まれるsmall RNA鎖が逆となること、small RNAをとりこむ機構がAGO間で異なることを示している。AGO2は核と細胞質、AGO5は細胞質に局在した。