日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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遺伝子間隙に存在するshort open reading frameの機能解析
*樋口 美栄子吉積 毅花田 耕介児玉 豊清水 みなみ堀井 陽子川島 美香松井 敬子松井 南
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p. 0007

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抄録

近年、遺伝子間隙やノンコーディングRNA上に存在する短いアミノ酸をコードするshort open reading frames (sORFs)がペプチドとして機能する報告が様々な生物種において相次いでいる。我々は、高等植物の既知遺伝子間隙に存在するsORF(30-100アミノ酸)を同定し、機能解明を目指して研究を行っている。イネとシロイヌナズナの既知遺伝子とsORFを搭載したマイクロアレイを作成し、様々な組織から抽出したRNAを用いて発現解析を行った結果、全ての組織においてsORFが発現していることが確認された。一部のsORFについてはRACE法により完全長cDNAを同定し、sORFが転写されていることを確認した。さらにプロモーターと終始コドンを欠いたsORF領域にGUS遺伝子を融合させたコンストラクトを用いて形質転換体を作成したところ、GUSのシグナルが検出され、sORF領域が翻訳されていることが示された。発現解析に加え、配列の保存性やペプチドホルモン様配列に注目し、イネとシロイヌナズナの過剰発現体の作製を進めている。現在までに、葉の形態や芽生えの胚軸、根の伸長に変化が生じた変異体などを多数単離している。このようにsORFは植物においてペプチドとして機能し、新規の遺伝子群となることが期待される。

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© 2011 日本植物生理学会
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