日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネに存在する2種類のNADH-グルタミン酸合成酵素は窒素の利用と生産性に異なった影響を与える
*田村 亘渡邉 英生日高 佑典豊川 絢子田渕 真由美小島 創一早川 俊彦山谷 知行
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p. 0019

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抄録

NADH-グルタミン酸合成酵素(NADH-GOGAT)は、グルタミンと2-オキソグルタル酸から2分子のグルタミン酸を合成する酵素である。イネには、NADH-GOGAT1とNADH-GOGAT2の2種類のアイソザイムが存在する。イネの地上部において、NADH-GOGAT1は、未抽出葉身や頴花といったシンク器官の維管束組織に局在する。一方、NADH-GOGAT2は、成熟葉身や老化葉身といった、ソース器官の維管束組織に局在する。それぞれのNADH-GOGATの役割を明らかにするため、各NADH-GOGATの遺伝子破壊変異体を用いて、その表現型を観察した。これらの遺伝子破壊変異体を水田に移植し、収穫期まで栽培した。その結果、Nipponbareと比較して、NADH-GOGAT1並びにNADH-GOGAT2の変異体は、共に乾物重や収量が低下した。しかし、収量構成要素別に比べると、NADH-GOGAT1の変異体では、主に穂数が減少しているのに対し、NADH-GOGAT2の変異体では、主に一穂籾数が減少していた。このことから、2種類のNADH-GOGATでは、共に生産性に関与しているものの、異なる役割を持つことが明らかとなった。また、その機能は、お互いに相補しきれないものであった。現在、2種類のNADH-GOGATの窒素利用における機能を、詳細に解析している。

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© 2011 日本植物生理学会
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