日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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WEB1/PMI2 による青色光依存的葉緑体アクチン繊維動態の制御
児玉 豊*末次 憲之孔 三根和田 正三
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p. 0071

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抄録
葉緑体は弱光には集まり(集合反応)、強光からは逃避する(逃避反応)。我々はシロイヌナズナにおいて、青色光受容体フォトトロピンが葉緑体上のアクチン繊維(cp-actin 繊維)を制御することによって、葉緑体の移動方向や速度が調節されていることを明らかにした。本発表では、葉緑体運動の速度を制御する因子として、コイルドコイル構造を持つ2つのタンパク質 WEB1 (weak chloroplast movement under blue light 1)とPMI2 (plastid movement impaired 2) を同定したので報告する。酵母Two-Hybrid の系によりWEB1とPMI2の結合が検出され、さらにBiFC 法によりその結合が細胞質で起こることが確認された。web1pmi2両変異体は、特に逃避反応に異常を示し、葉緑体の移動速度が野生型に比べて遅かった。野生型ではcp-actin 繊維は強光照射直後に一過的に消失した後、移動方向の前端側に再度現れるが、web1pmi2では共に強光照射直後のcp-actin 繊維の一過的消失は見られず、cp-actin繊維の再編成も起きなかった。これらの結果から、WEB1とPMI2 はcp-actin 繊維を制御することによって葉緑体運動の速度を調節していることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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