日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのアスコルビン酸生合成に関わるVTC2VTC5遺伝子の発現解析
高 用順増澤 拓也Badejo Adebanjo柴田 均澤 嘉弘Smirnoff Nicholas丸田 隆典重岡 成*石川 孝博
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p. 0094

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抄録
植物のアスコルビン酸(AsA)は、D-マンノース(D-Man)およびL-ガラクトース(L-Gal)の誘導体を代謝中間体とするD-Man/L-Gal経路を主要経路として生合成される。VTC2遺伝子とそのパラログのVTC5遺伝子は、同経路上の構成酵素GDP-L-Galフォスフォリラーゼをコードしており、AsA生合成の中心的役割を担っている(PJ, 2007; JXB, 2007)。本研究ではAsA量が著しく変動する光や発芽におけるVTC2およびVTC5遺伝子の発現解析を行い、AsA生合成調節における両遺伝子の役割について考察した。12h明暗条件下で栽培したシロイヌナズナ葉中のAsA量は日周変動を示した。この時D-Man/L-Gal経路構成酵素遺伝子のうちVTC2遺伝子の発現レベルが最も顕著に変動し、光照射後6時間までに約5倍程度まで上昇した。一方、VTC5遺伝子の発現レベルはVTC2の百分の一以下であった。発芽1日目の子葉におけるVTC5遺伝子の発現量はVTC2の半分程度であったが、その後子葉の成熟に伴ってVTC2VTC5発現比率の差が大きくなった。VTC2およびVTC5のプロモーター::LUCを導入した形質転換体のLUC活性も遺伝子発現解析の結果を支持しており、AsA合成にはVTC2が主要な役割を担っているが、発芽初期段階ではVTC5による機能相補の可能性が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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