抄録
マメ科植物の根粒形成には様々な植物ホルモンが正もしくは負の調節因子として関与している。その中でオーキシンは、特に無限根粒において、根粒形成初期の皮層細胞分裂を促進する正の調節因子として重要な役割を担っていることが報告されている。一方で、有限根粒においては根粒形成時のオーキシン応答を調べた2003年の Pacios-Bras らの研究が報告されているのみであり、オーキシンによる有限根粒形成の調節については未解明の部分が多い。そこで本研究では有限根粒を形成するミヤコグサを用いて、根粒形成におけるオーキシンの役割を明らかにすることを目的とした。
オーキシン応答性のGH3プロモーターを用いた解析を行ったところ、オーキシンの応答は根粒形成初期の分裂を始めた皮層細胞および根粒原基のメリステムで確認された。続いてオーキシン輸送阻害剤ならびにオーキシンアンタゴニスト処理下において根粒形成を観察したところ、根粒表面のレンティセル(皮目)の形成が全ての阻害剤処理で消失していることが確認された。さらに、レンティセル形成阻害と相関して根粒維管束の形成も阻害されていることが分かった。