抄録
植物ホルモンの一種であるアブシジン酸(ABA)をミヤコグサ (Lotus japonicus)に添加すると、ミヤコグサの根粒着生数は減少する。マイクロアレイにより、ABA添加に応答して発現が上昇するミヤコグサの遺伝子群を検索したところ、Class 1 chitinase (PR3), PR10.2 C Protein (PR10.2c), Chalcone synthase (CHS), β-1,3-glucanase (LjGlu1), ORF2 bases 1807-2850の5種類の遺伝子発現の上昇が検出された。これら5種類の遺伝子の発現を抑制したミヤコグサの形質転換毛状根をantisense法にて作出し、根粒菌を接種したところ、LjGlu1とCHSの抑制体で根粒着生数と窒素固定活性が、ORF2 bases 1807-2850で窒素固定活性が上昇する傾向が見られた。しかし、毛状根におけるこれらの遺伝子の発現抑制効果は低いことが判明した。そこで本研究では、LjGlu , CHS , ORF2 bases 1807-2850のRNAi法による発現抑制毛状根を作出し、根粒着生と窒素固定能に与える影響について解析したので報告する。