日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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新奇のミヤコグサ根粒過剰着生変異体 plenty の解析
*吉田 千枝養老 瑛美子舟山(野口) 幸子寿崎 拓哉佐伯 和彦川口 正代司
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p. 0128

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抄録
マメ科植物は、根粒に共生する根粒菌による共生窒素固定により、窒素源に乏しい土壌で生育することができる。共生窒素固定に要するエネルギー源として、植物は大量の糖を根粒に投入する。過剰な根粒形成と共生窒素固定は植物の生育制限要因となるので、植物は自身の成長に適正な規模の根粒を維持する機構をもつと考えられている。
plenty は、イオンビーム処理したミヤコグサMG-20由来の新奇の根粒過剰着生変異体である。接木実験により、PLENTY は根で根粒形成の抑制に働くことがわかった。plenty; har1 二重変異体が相加的な根粒数を示したこと、plenty が部分的な硝酸耐性と正常なエチレン感受性を示したことから、PLENTYは新奇の根粒抑制経路で機能することが示唆された。
plenty は、har1, klv, tml と異なり、根粒数は増加するのに個々の根粒サイズが減少しない。plenty と野生型の乾重量を比較すると、plenty では根粒乾重量が顕著に増加する一方、地上部と根の乾重量は減少する。根粒のアセチレン還元活性を測定すると、plenty ではアセチレン還元活性値が顕著に高かったことから、多くの通常サイズの根粒による過剰な共生窒素固定活性が、総体的にplenty の成長阻害要因になっていることが示唆された。
PLENTY 遺伝子のマッピングにより、ゲノム欠失領域を特定した。
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© 2011 日本植物生理学会
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