日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シアノバクテリアでのエレクトロン・ソース能(ΦII×PFD)とエレクトロン・シンク能 (Jg) の相関解析
*林 良祐進藤 沙織真野 陽人杉本 敏男近藤 昭彦藍川 晋平蓮沼 誠久秋本 誠志三宅 親弘
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p. 0166

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抄録
本研究ではSynechocystis sp. PCC6803を用いて光合成でのΦII×PFDとJgの関係解明を目的とした。ΦII×PFD はChl蛍光測定による ΦII解析により、Jgは酸素発生速度(V(O2))解析により評価した。
光強度の増大と共に白色光(WL)ではFm’とFsの低下が見られたが、赤色光(RL)では見られなかった。一方、緑色光(GL)ではWLよりも弱光で低下が見られた。Fm’とFsの低下は、ステート遷移、呼吸、WWCによるものではなっかた。我々は、GLの結果からPSIIアンテナ-Chl間の光エネルギー移動がOrange Carotenoid Protein (OCP)により制御され、Fm’とFsの低下に至ったと考えた。
WL下、ΦII×PFD/Jg(=K)が強光下で増大した。一方、RL下では、強光下でもKは一定に保たれた。これはエレクトロンシンク律速条件下でも、AEFが働かないことを示唆する。さらに嫌気条件はV(O2)およびΦIIに影響を与えなかった。つまり、WL下で、AEFとしてのWWC活性が非常に低いことが示唆された。よって、WL下でのKの増大は、OCPによるPSII反応中心の光エネルギー捕集率低下によるものと考えられる。
これらの結果から、S.6803では、ΦIIを用いたエレクトロンソース能評価は、RL下での光合成解析により可能であることが明らかになった。
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© 2011 日本植物生理学会
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