日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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Rubisco activaseの高発現はRubisco含量の減少により光合成速度を低下させる
*深山 浩上口 千晶西川 薫石川 智恵畠中 知子三十尾 修司
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p. 0165

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抄録
Rubiscoの活性化に必須なタンパク質Rubisco activase の高発現がイネ葉の光合成におよぼす効果を解析するために,オオムギRubisco activaseを高発現する形質転換イネを作出した.ウエスタンブロットおよびSDS-PAGE解析により,形質転換イネではイネRubisco activase以上のレベルのオオムギRubisco activaseを発現していることが確認できた.光照射下でのRubiscoの活性化率は形質転換イネで若干高かった.また,Rubiscoの光活性化における緩和時間は,形質転換イネにおいて有意に低かった.つまり,Rubisco activaseの高発現によりRubiscoの活性化が促進されたと考えられた.しかし,形質転換イネの光合成速度は非形質転換イネに比べて低い傾向を示した.窒素供給量を変えて育成した場合も,低窒素,標準窒素,高窒素いずれの実験区も形質転換イネで光合成速度が低くなった.窒素含量,クロロフィル含量には差異は認められなかったが,Rubisco含量は形質転換イネで有意に減少した.以上の結果,Rubisco activaseの高発現はRubiscoの活性化を促進するが,Rubisco含量の減少を招き,その結果,光合成速度を低下させることが明らかとなった.
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© 2011 日本植物生理学会
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