日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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紅色光合成細菌のカロテノイドの一般性と多様性
*高市 真一
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p. 0170

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抄録
紅色光合成細菌のカロテノイドは多種多様であるが、一部の目科属の各々のレベルで見られる特有のカロテノイドと、系統分類とは関係ない多様性に分けることができる。
紅色光合成細菌は他の生物には余り見られない非環状のカロテノイドのみを生産し、そのうちの約半数の種の最終産物はスピリロキサンチンである。生合成にはCrtI, CrtC, CrtD, CrtFの4酵素が関与している。残りの種は、4種のスピリロキサンチン合成酵素の一部の変異・欠損、新たな酵素の獲得で説明できる。
Rhodobacterales目はスフェロイデンやスフェロイデノンを生産する。これはCrtIの変異で最終産物がリコペンでなく1つ手前のニューロスポレンに変化し、ケト化酵素CrtAを獲得したためである。
今回分析したPhaeospirillum属4種すべてがヒドロキシリコペン(ロドピン)あるいはジヒドロキシリコペンのグルコシドを生産した。CrtDの欠損、グルコース添加酵素の獲得によると思われる。またRoseospira属5種すべてがダイデヒドロロドピンを主成分としていたので、CrtF活性の低下と思われる。さらにRhodoplanes属5種は、2種がスピリロキサンチン、1種がロドピンを主成分としたが、1種はロドピンを主成分としテトラヒドロスピリロキサンチンも合成した。同じ属内で種毎に酵素の性質に違いが生じたと思われる。
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