日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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葉緑体にコードされる暗所作動型プロトクロロフィリド還元酵素のRNA editingによる活性制御
*山本 治樹楠見 淳子久留宮 祥平大橋 理恵藤田 祐一
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p. 0173

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抄録
クロロフィル(Chl)生合成系には進化的起源の異なる2つのプロトクロロフィリド還元酵素が存在し、このうち暗所作動型酵素(DPOR)が暗所でのChl生合成能を決定づけている。DPORはL-蛋白質(ChlL)とNB-蛋白質(ChlN-ChlB)という各々ニトロゲナーゼのFe-蛋白質とMoFe-蛋白質と類似した2つのコンポーネントから構成される。被子植物を除く真核光合成生物においてDPORは葉緑体DNAにコードされ、一部の裸子植物ではchlNchlBがmRNAの段階でRNA editingによってアミノ酸置換を伴う塩基置換が導入されることが報告されている。本研究では、クロマツPinus thunbergiiの葉緑体DNAにコードされるChlNとChlBを、ラン藻Leptolyngbya boryanachlB欠損株で発現させ、暗所でのChl生合成能の回復を示標としてRNA editingのDPOR活性に与える影響を検討した。その結果、RNA editingによる塩基置換を導入したchlN-chlBを有する形質転換体においてのみ有意なChl生合成能が認められた。さらに、L. boryanaのNB-蛋白質を用いた生化学的解析はこの結果を支持していた。これらの結果は、RNA editing がNB-蛋白質を介してクロマツの暗所芽生えの緑化を制御していることを示唆している。
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© 2011 日本植物生理学会
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