日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ニトロゲナーゼ類似型プロトクロロフィリド還元酵素の反応機構の解析
*野亦 次郎近藤 徹溝口 正民秋 均伊藤 繁藤田 祐一
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p. 0174

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抄録
暗所作動型プロトクロロフィリド還元酵素(DPOR)はニトロゲナーゼ類似酵素であり、プロトクロロフィリド(Pchlide)のポルフィリンD環を立体特異的に還元し、クロロフィルの直接の前駆体であるクロロフィリド(Chlide)を生成する反応を触媒する。この反応では、PchlideのC17=C18間の二重結合が立体特異的に還元される。私達は、これまでに光合成細菌Rhodobacter capsulatusのNB-蛋白質(BchN-BchBへテロ四量体)の結晶化を行い、その立体構造を明らかにした。この構造と一連の生化学的解析結果に基づき、D環炭素間二重結合の立体特異的な還元反応機構を提唱した。本研究では、反応機構の詳細に迫るため、反応に関わると推定されたアミノ酸残基を置換した変異型タンパク質と基質アナログを用いて解析を行った。まず、反応条件下での吸収スペクトルの変化を経時的に測定したところ、基質Pchlideと生成物Chlideの中間的な吸収特性をもつ、反応中間体に由来すると思われるスペクトルが観測された。EPR解析の結果、この反応中間体はラジカル種であることが明らかとなった。さらに、変異型タンパク質と基質アナログを組み合わせて一連の生化学実験を行い、DPORによるPchlide還元反応の順序を決定しようと試みている。
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© 2011 日本植物生理学会
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