日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ラン藻を活用した光依存型プロトクロロフィリド還元酵素の機能解析
*辻本 良真本松 里恵藤田 祐一
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p. 0175

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抄録
光依存型プロトクロロフィリド還元酵素(LPOR)はクロロフィルaの直接の前駆体であるクロロフィリドaの生成反応を触媒する酵素であり、反応自体に光を必要とする点でユニークである。ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803においてLPORをコードする遺伝子porを欠損した変異株は、弱光・好気条件や通常光・嫌気条件では生育するが、通常光・好気条件では生育できない。このため、por欠損株はLPORの機能をin vivoで解析するために有用な系となる。海洋性ラン藻Synechococcus sp. CC 9311は淡水性ラン藻や植物のLPOR遺伝子とは系統的に異なるサブグループに属する3つのLPOR様遺伝子を持つが、これらの遺伝子がLPORとして機能するかどうか不明である。そこで、これらの遺伝子をpor欠損株で発現させ、通常光・好気条件での生育を検討した。併せて、大腸菌で発現させた精製タンパク質を用いてLPOR活性測定を行い、基質であるプロトクロロフィリドとNADPHに対するKm値を測定した。これらin vivoおよびin vitroでの結果から3つの遺伝子の機能について論ずる。さらに、糸状性ラン藻Leptolyngbya boryanaのLPOR遺伝子について、LPORに特異的なループ構造が活性に必須か否かをpor欠損株での発現系により検討したので、その結果も報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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