日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネフロリゲンHd3aタンパク質複合体の機能解析
*田岡 健一郎島田 千尋柳瀬 朋子大木 出辻 寛之児嶋 長次郎島本 功
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p. 0188

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抄録
フロリゲンは、日長変化に応じて葉で合成されて花成をひきおこすホルモンとして1930年代にチャイラヒアンによって提唱された。近年の分子遺伝学的解析から、フロリゲンの分子実体はイネHd3a (シロイヌナズナFT)タンパク質であることが強く示唆されている。Hd3a/FTや、それらと拮抗的に働くRCN/TFL1タンパク質は、生物界で広く保存されているPEBPファミリーに属するが、花成制御における生化学的機能はいまだ不明の点が多い。そこで本研究ではHd3aの変異解析を行い、Hd3aを含むタンパク質複合体の分子機能の理解を目指した。
Hd3aタンパク質の構造解析結果を基にHd3aに種々の変異を導入し、Y2H法によるHd3a相互作用因子との相互作用解析を行った。さらに、イネ培養細胞を用いた一過的発現系を用いて、変異Hd3aタンパク質の転写活性化能を検定した。その結果、Hd3aタンパク質はイネGF14やイネFDと相互作用して複合体を形成し、標的遺伝子の転写活性化を行うことが示唆された。RCNタンパク質について同様の解析を行ったところ、RCNが同様の複合体を形成して標的遺伝子の転写抑制を行う可能性が示唆された。以上の結果を基にフロリゲンの花成促進作用の分子機構について議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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