【目的】悪液質リスクの高い高齢進行がん患者に対して,初回化学療法導入時より栄養と運動を組み合わせたマルチモーダルな介入プログラムを開発した.本研究の目的は,その中の下肢筋力トレーニングの詳細と安全性および忍容性を報告することである.【方法】対象は,初回化学療法導入予定の70歳以上の進行非小細胞肺がんおよび進行膵がん患者30例とした.下肢筋力トレーニングは約8週間の在宅ベースプログラムとし,対象者別にトレーニング内容および負荷量を設定した.【結果】介入期間中の下肢筋力トレーニングの実施割合は91(69〜95)%であった.治療継続や日常生活に影響を及ぼすような有害事象発生はなく,介入前後で身体機能や活動量の有意な低下は認められなかった.【結論】悪液質リスクの高い高齢進行がん患者において,われわれが開発した下肢筋力トレーニングは高い実施割合を有し,身体機能や身体活動量の維持に寄与した可能性が示唆された.