日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナFT蛋白質と相互作用する新奇転写因子の探索と機能解析
*丹羽 優喜遠藤 求荒木 崇
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p. 0192

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抄録
長日植物であるシロイヌナズナでは、長日条件下において葉の維管束篩部でFT遺伝子が発現し、茎頂に移動したFT蛋白質がAP1などの下流遺伝子の転写を制御することによって花の形成を開始させる。FT蛋白質は茎頂において、bZIP型転写因子FDと相互作用し、その転写活性化能を調節していると考えられている。しかし、遺伝学的研究などの知見から、FT蛋白質の花成促進機能はFD蛋白質に完全には依存しないことも示されている。また、花成に伴って、花の形成開始だけでなく、植物体全体で様々な変化が起こるが、そうした変化とFT蛋白質の関わりは明らかになっていない。われわれは現在、これらの課題を解決するため、転写因子ライブラリーを用いてFT蛋白質と相互作用する新奇転写因子の探索を行っている。また、酵母ツーハイブリッド法およびBiFC法を用いて、FT蛋白質と相互作用する因子として、これまでにTCP転写因子群に属する蛋白質を同定した。FT蛋白質と相互作用能を示したTCP転写因子の1つであるBRC1/TCP18は、側芽の形成・発達を抑制するという報告があることから、FT蛋白質がBRC1/TCP18との相互作用を介して側芽の発達に寄与する可能性が考えられる。側芽の発達を中心に、花成に伴う様々な変化を引き起こす分子機構について、tcp変異体及びft変異体の解析から得られた結果を報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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