日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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リン酸化によるbZIP型転写因子FDの機能制御機構の解析
*川本 望高山 尊之遠藤 求笹部 美知子町田 泰則荒木 崇
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p. 0193

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抄録
シロイヌナズナのbZIP型転写因子であるFDタンパク質は、FTタンパク質と相互作用することで、APETALA1(AP1) などの花芽形成に関わる遺伝子の発現を促進する。AP1タンパク質は花芽形成に関わる遺伝子の発現制御の要であり、FDタンパク質はFTタンパク質とAP1 遺伝子の発現を結びつける重要な機能を担っている。FDタンパク質のC末端にはCalcium-dependent protein kinaseによるリン酸化配列が存在する。これまでの解析から、リン酸化を受けると推定される282番目のスレオニン残基をアラニン残基に置換した変異体FDタンパク質はFTタンパク質との相互作用能を失い,fd 変異体の遅咲き表現型を相補することができない。これらの解析からFDタンパク質のリン酸化が機能上重要であることが示唆されているが、そのリン酸化の実態は示されていない。
そこでわれわれはFDタンパク質による花成制御機構、中でも特にFDタンパク質のリン酸化による機能制御に着目して解析を進めた。リン酸化ミミック変異を導入したFDは酵母ツーハイブリット法およびBiFC法においてFTとの相互作用を確認することができた.現在,282番目のスレオニン残基のリン酸化の検証,FD-FT複合体の形成機構についての解析およびFDをリン酸化するキナーゼの探索を進めており,本発表では得られた結果について報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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