日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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植物におけるRab11コンパートメントの多様化とその機能に関する解析
*浅岡 凜植村 知博井藤 純上田 貴志中野 明彦
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p. 0223

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抄録
シロイヌナズナのゲノム中にはRab GTPaseをコードする遺伝子が57個存在し,そのうち26遺伝子がRab11グループ(RabA1~RabA6)に分類される.一方で,酵母・動物ではRab11グループに属する遺伝子はごく少数であることから,植物においてRab11グループは独自の進化を辿り多様化したと考えられる.我々は,Rab11グループの多様化が植物の膜交通システムに与えた意義を解明すべく解析を行っている.これまでに,RabA1サブグループ(RabA1a~RabA1iの9遺伝子)のメンバーがトランスゴルジネットワーク(TGN)とその近傍のドット状のオルガネラに局在すること,および根毛細胞のみで発現するRabA1eがTGNと根毛先端間の輸送を担っていることを示す結果を得ている.今回,我々は,植物体全体で強く発現するRabA1bに,活性型固定変異,もしくは不活性型固定変異を導入したタンパク質を発現させた植物体を作出し,その細胞内局在を詳細に解析することで,RabA1メンバーが関与する細胞内輸送経路についての知見を得た.また,これらの植物体の表現型観察により,不活性型固定変異を導入したタンパク質を発現させた植物体では,根の成長が阻害され,塩ストレスに対する耐性が低下していることが明らかになった.本発表では,RabA1メンバーの局在する小胞の運動とアクチン骨格系との関係についても報告する.
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© 2011 日本植物生理学会
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