日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒストンシャペロン構成因子ALAC1のDNA脱メチル化及びゲノムインプリンティングへの関与
*池田 陽子木下 由紀池田 有理子角谷 徹仁木下 哲
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p. 0238

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抄録
DNA脱メチル化は、動植物を通じて発生や分化の制御に関わることが知られている。植物では、ゲノムインプリンティングの確立過程において、中央細胞で発現したDNA脱メチル化酵素DEMETER(DME)がメチルシトシンを切り出し、母親側の特定の遺伝子発現を活性化することで、受精後の胚乳における父母アレルの発現の違いが引き起こされることが知られている。しかしながら、DNA脱メチル化過程でのクロマチン制御については殆ど明らかになっていない。我々はDNA脱メチル化に関わる新規因子を明らかにするため、インプリント遺伝子FWAの発現をGFPでモニターする系を用い、FWAの発現に異常が見られる変異体をスクリーニングした。
我々が単離したalac1はヒストンシャペロンの構成因子をコードしており、ヌクレオソーム構造の制御に関わっていると考えられる。alac1では、母親特異的インプリント遺伝子のDNAメチル化レベル及び発現に影響がみられた。さらに、インプリント遺伝子の変異体mea及びfis2と同様、受精に依存せず胚乳発生が開始する表現型を示した。alac1の中央細胞におけるDME遺伝子の発現レベルは野生型と違いが見られない事から、ALAC1はヌクレオソーム構造の制御を介して、DMEの発現制御以外の機構でDNA脱メチル化及びゲノムインプリンティングに関与すると考えられる。これらの結果について報告したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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