日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ユビキチンリガーゼATL31と14-3-3タンパク質相互作用による植物C/N応答制御機構の解析
*佐藤 長緒前川 修吾安田 盛貴百目木 幸枝山口 淳二
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p. 0270

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抄録
植物は生育環境の栄養条件に応じて代謝,成長を巧みに制御しながら生きている。特に,基幹代謝の根幹を担う炭素源(C)と窒素源(N)の相対量比(C/N)の影響は大きい。著者らは,未解明のままである植物C/N応答機構に着目し解析を行ってきた。これまでに,シロイヌナズナ新規C/N応答制御因子としてユビキチンリガーゼATL31を単離し(Sato et al., Plant J, 2009, 60:852-864),続くプロテオミクス解析からユビキチン化標的候補分子として14-3-3タンパク質が同定されている。
本研究では,atl31及びホモログのatl6機能欠損変異体に加えて,新たに作製した14-3-3過剰発現体を用いて生化学および遺伝学的な解析を行うことで,ATL31と14-3-3相互作用の生理的意義について検証を行った。その結果,野生型背景で過剰発現させた14-3-3タンパク質がC/N依存的に蓄積し,atl31atl6二重変異体背景では蓄積が促進されていた。プロテアソーム阻害剤処理でも同様の蓄積効果が示された。さらに,14-3-3過剰発現体はC/Nストレス過剰応答を示し,atl31atl6背景でより顕著になることが示された。これらの結果及び14-3-3の生化学的知見を含めて,ATL31と14-3-3タンパク質相互作用を介した植物C/N応答制御機構の可能性について議論したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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