日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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低リン耐性の高いヤマモガシ科Hakea laurinaにおける酸性ホスファターゼの単離と解析
*和崎 淳丸山 隼人
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p. 0281

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抄録
低リン条件下で生育する植物は、酸性ホスファターゼ(APase)活性を高め、根から分泌して根圏の有機態リンを分解してリンの吸収を増加させたり体内の有機態リンを分解して循環利用したりすることが知られる。低リン耐性が極めて高いヤマモガシ科植物は、その耐性の分子機構についてはあまり知られていない。そこで、本研究はヤマモガシ科Hakea laurinaにおけるAPaseを単離し、その機能を調査することを目的とした。
低リン条件で水耕栽培したHakeaのクラスター根を材料としてcDNAを合成した。既知のAPaseの保存性の高い領域を用いて設計したプライマーを用いて3'-RACEを行って得られた約0.9 kbの断片のクローンライブラリーを作成し、塩基配列の決定を行った。既知のAPaseと相同性の高い4つの断片が得られ、それぞれHlSAP1-4と命名した。これらの塩基配列は互いに40-76%同一であった。最も出現頻度の高かったHlSAP1はシロバナルーピンの分泌性APaseと72%のアミノ酸配列が同一であり、分泌性APaseであると考えられた。
蛍光基質を用いてHakeaの根におけるAPase活性の局在を調査したところ、クラスター根の根端の表皮細胞と根毛に極めて高い活性が確認されたことから、クラスター根で発現するAPaseは大部分が細胞外に局在し、根圏からのリンの吸収に貢献していると推察された。
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© 2011 日本植物生理学会
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