日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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タバコNtERF3及び相同遺伝子の一過的過剰発現はタバコにHR様細胞死を誘導する
*小賀田 拓也西山 晴佳松下 保彦
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p. 0290

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抄録
植物固有の転写因子であるエチレン応答性因子 (ERF) は,転写因子として最大規模のファミリーを形成しており,様々な環境ストレス応答,病傷害抵抗性に関与することが明らかにされてきている.我々はこれまでに,転写抑制因子であるタバコNtERF3が,タバコモザイクウイルス (TMV) 感染時のN遺伝子による過敏感反応 (HR) 誘導に伴い発現誘導され,アグロバクテリウム浸潤法によるNtERF3の一過的過剰発現がタバコにHR様細胞死を誘導することを明らかにした.NtERF3はそのC末端領域にEAR転写抑制モチーフを有しているが,EARモチーフを有するナズナ,イネの転写抑制型ERFにも,細胞死誘導能を有する相同遺伝子が複数個見つかった.また,同様にEARモチーフを有し,細胞死誘導能を有するタバコERFも新たに複数個同定された.細胞死誘導能を有するタバコERFの中には,TMV感染によるHR誘導時に,NtERF3と同様に発現誘導されるものがあった.これらの結果から,NtERF3が属すサブグループ中には,HR細胞死誘導に関与する転写抑制型ERFが複数存在していることが考えられた.現在,ドミナントネガティブ型NtERF3による形質転換タバコを作製し,HR細胞死誘導,及びTMV抵抗性への影響を解析中である.
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© 2011 日本植物生理学会
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