日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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茎頂分裂組織におけるCLV3シグナル受容機構の解析
*木下 温子別役 重之刑部 祐里子篠崎 和子福田 裕穂澤 進一郎
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p. 0339

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抄録
高等植物の頂端分裂組織は、未分化状態を保ちながら分裂・増殖する細胞群であり、茎頂―根端軸方向への成長や器官原基の形成に必要な細胞を提供するという重要な役割を担っている。シロイヌナズナにおける分子遺伝学的解析から、茎頂分裂組織の領域決定には、細胞外ドメインに leucine-rich repeat (LRR)をもつ受容体 CLAVATA1(CLV1)や CLV2、膜結合型タンパク質キナーゼである SOL2/CRN、さらには分泌性のリガンドである CLV3 からなる細胞間情報伝達系が重要であると考えられている。
本研究では、化学合成 CLV3 ペプチドに対する耐性を指標にサプレッサースクリーニングを行い、CLV3 の下流で機能する新規因子として、LRR 型受容体様キナーゼをコードするRECEPTOR-LIKE PROTEIN KINASE 2 (RPK2 )を単離した。rpk2 変異体では他のclv 変異体同様、茎頂分裂組織の肥大化や花器官数の増大といった特徴的な表現型が観察され、さらに、遺伝学的、および生化学的解析の結果、RPK2 は既知の CLV3 受容体である CLV1、あるいは CLV2-SOL2/CRN 複合体とは独立に機能することが示された。以上の結果から、RPK2 は茎頂分裂組織において CLV3 のシグナルを伝達する第三の経路であることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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