日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナC/N応答機構に関与する制御因子CNI2/ABI1の解析
*百目木 幸枝安田 盛貴前川 修吾佐藤 長緒山口 淳二
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0348

詳細
抄録
植物は有機物合成に不可欠な2大栄養素である糖(C)と窒素(N)の細胞内バランスを感知・制御することで,環境に合わせた適切な個体の生長を行っている.これらCとNの代謝系はクロストークしているが,その詳しい制御機構は未だ解明されていない.
そこで我々はこのC/N応答制御機構の解明を目指し,高C/低Nストレス耐性変異体のスクリーニングを行った.その結果,cni2-D (carbon and nitrogen insensitive 2-D)変異体の単離に成功した.この変異体ではABI1 (ABA insensitive 1)の過剰発現が確認された.その後の解析によりABI1過剰発現体ではC/Nストレスに低感受性を示し,さらにabi1-2では高感受性を示した.これらのことからABI1はC/N応答制御に関与していることが示された.ABI1はアブシジン酸(ABA)シグナル伝達を負に制御するプロテインフォスファターゼ2Cとしてよく知られる.ABAは糖をはじめとする様々なストレス応答を制御する植物ホルモンであるが,C/Nストレスとの関係は知られていない.
本研究ではABAシグナリング各段階における変異体のC/N感受性を検証することで,両シグナル伝達経路の関係性を明らかにする.さらに様々なC/N条件におけるABI1発現量の検証などを通しABI1のC/N応答制御機構への関与について考察する.
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top