日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのSAMDC4/BUD2はサーモスペルミン合成に主要な役割を果たす
*懸樋 潤一Tong Wurina本瀬 宏康高橋 卓
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p. 0354

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抄録
シロイヌナズナにおいて、ポリアミンの一種であるサーモスペルミンの合成欠損株acaulis5 (acl5)は、茎の伸長が著しく欠損する。ポリアミンの基質の一つである脱炭酸S-アデノシルメチオニンは、S-アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)によって合成される。シロイヌナズナにはSAMDCをコードする遺伝子が4つ存在し、SAMDC1~3は、過剰なスペルミンまたはスペルミジンの存在下で、5’リーダー配列にある小さなORF、uORFによって翻訳が負に制御されるが、SAMDC4/BUD2はuORFを持たず、異なる制御を受けると考えられる。SAMDC4/BUD2欠損変異株bud2が茎の伸長欠損を示すこと、SAMDC4/BUD2の発現がサーモスペルミンにより負のフィードバック制御を受けることから、SAMDC4/BUD2はサーモスペルミンの合成に深く関わると予想された。
bud2変異株におけるポリアミン含量を調べた結果、サーモスペルミンが検出限界以下であることがわかった。また、acl5変異の茎の伸長を回復させるサプレッサー変異、sac51-d, sac52-d, sac56-dの効果をかけ合わせにより調べたところ、いずれもbud2変異の茎伸長欠損を抑圧することが示された。以上の結果は、SAMDC4/BUD2がサーモスペルミンの合成に主要な役割を果たすという仮説を支持する。
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© 2011 日本植物生理学会
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