日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ミヤコグサ由来フラボノイド 8-水酸化酵素遺伝子の単離と機能解析
*嶋田 典基明石 智義青木 俊夫金森 千奈太田 大策青木 考柴田 大輔鈴木 秀幸
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p. 0387

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抄録

マメ科のミヤコグサ Lotus japonicus はフラボノイド系黄色色素を花弁に蓄積する。その色素は広く植物に見られるフラボノールケルセチンの 8 位が水酸化された 8-ヒドロキシケルセチン配糖体であることが明らかにされている。8 位の水酸化については、キク科植物では NADPH および FAD 依存性の膜結合酵素であるとされているが、遺伝子の単離は未だなされていない。本研究では、ゲノム解析が行われたミヤコグサを用いて、フラボノイド 8 位水酸化酵素遺伝子の単離と機能解析を行うことを目的とした。
ミヤコグサの花弁および蕾由来の EST データを検索したところ、蕾のみで見られる配列の中に FAD 結合モチーフを有するモノオキシゲナーゼ様配列を見出した。この全長 cDNA を単離し、大腸菌および酵母細胞発現系を用いて機能解析を行った。ケルセチンを基質に用いた反応産物を LC/MS で分析したところ、反応産物の保持時間と質量電荷比および MS/MS フラグメントパターンは 8-ヒドロキシケルセチンと一致した。フラボノイド骨格の水酸化を行う酵素としてはシトクロム P450 や 2-オキソグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼが報告されているが、今回同定した酵素はこれらとは異なる酵素群に属する新たなフラボノイド水酸化酵素である。現在、本酵素の諸性質について解析を行っている。

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© 2011 日本植物生理学会
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