日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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コムギ無細胞タンパク質発現系を用いた植物チロシンキナーゼ(PPTK)の網羅的探索・同定および機能解析
*根本 圭一郎関 原明篠崎 一雄遠藤 弥重太澤崎 達也
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p. 0408

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抄録
チロシン(Tyr)キナーゼによるタンパク質のリン酸化は、ヒトを含む多細胞真核生物の生育や発生を制御している。しかし、植物には動物で知られているような典型的なTyrキナーゼと相同性をもつ遺伝子が存在しないことから、植物におけるTyrリン酸化の生理学的役割は懐疑的であった。しかし、リン酸化Tyr残基に特異的なフォスファターゼの単離や、近年の高感度な質量分析解析によって、シロイヌナズナから約100種類のリン酸化Tyr残基をもつタンパク質が同定されている。これらのことから、植物にもTyrキナーゼによるリン酸化ネットワークが存在していることが推測される。そこで、本研究は、植物におけるTyrキナーゼを探索・同定し、そのリン酸化ネットワークを明らかにすることを目的とした。解析には、コムギ無細胞タンパク質発現系とAlphaScreenを組み合わせたハイスループットな解析技術を用いた。まず、シロイヌナズナRAFLから759種類のプロテインキナーゼ(PK)を選び、それを転写鋳型にしたin vitro でのタンパク質合成を行なった。ついで、Ser/Thr/Tyr自己リン酸化活性をAlphaScreenによって解析した結果、39種類のPKにTyr自己リン酸化活性が認められ、これらを植物Tyrキナーゼ(PPTK)と定義した。現在、これらの基質タンパク質の探索を行なっており、その結果についても述べたい。
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© 2011 日本植物生理学会
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