日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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新規カルシウム結合蛋白質PCaP2は、Ca2+シグナリングをPIPsシグナリングに変換する情報伝達因子であり、根毛の先端成長に重要である
*加藤 真理子青山 卓史前島 正義
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p. 0409

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抄録
AtPCaP2(A. thaliana Plasma membrane associated Ca2+-binding protein-2)は、当研究室で発見された細胞膜局在性の新規Ca2+結合蛋白質である。PCaP2は根毛および受粉後の花粉細胞で強く発現し、Ca2+に加えて、ホスファチジルイノシトールリン酸(PIPs)、カルモジュリン(CaM)などの情報伝達因子と相互作用する(Kato et al. Plant Cell Physiol. 2010)。PCaP2の情報伝達と生理機能の詳細については全く分かっていない。そこで、まずPCaP2とその相互作用因子の結合領域を、リコンビナントPCaP2を作製し生化学的手法により検討した。その結果、PCaP2はN端でPIPs、CaMと相互作用し、N端以降の領域でCa2+と結合することが明らかとなった。次に、得られた知見に基づきアミノ酸を改変したPCaP2を根毛細胞特異的なExpansin7プロモーターを用いて過剰発現した植物体を作製し、根毛の表現型を詳細に観察した。その結果、N端領域を欠失したPCaP2を過剰発現した植物体では、根毛先端が異常に膨らみ根毛の極性を著しく喪失した表現型を示した。本研究により明らかとなった知見をもとに、根毛形成におけるPCaP2の情報伝達とその意義を議論したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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