日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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紅色光合成細菌Rhodopseudomonas palustris由来の青色光受容体BLUFタンパク質PapBの光シグナル伝達機構
金澤 拓也堀田 淑坤前川 未来翔長谷川 浩司有坂 文雄兵藤 守早川 芳宏太田 啓之*増田 真二
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p. 0422

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抄録
BLUFは、近年発見されたフラビンを発色団とする青色光受容体タンパク質ドメインで、多くの微生物の光応答に関与している。特に近年、日和見感染症原因菌のバイオフィルム形成を調節する因子として注目されている。先の研究から、BLUFが光を受容する機構は明らかになってきたが、変換した光シグナルがどのように下流の因子へ伝わるのかはよく分かっていない。今回、BLUFが酵素ドメインの活性をどのように調節しているのかを明らかにするため、紅色細菌Rhodopseudomonas palustris由来のBLUFタンパク質PapBとその相互作用タンパク質PapAの機能解析を行った。変異体の解析からPapBは、この菌の青色光依存的なバイオフィルム形成に関与することがわかった。精製タンパク質の解析から、PapAは細菌のセカンドメッセンジャーc-di-GMP の分解を触媒することがわかった。PapBをPapAに加えると光照射下でのみPapAの活性を促進した。超遠心分析およびプルダウンアッセイにより、PapBはPapAに直接相互作用するが、その相互作用は光に依存しないことがわかった。このことは、分子間の相互作用部位とシグナル伝達部位は異なることを示唆する。そのメカニズムを議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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