日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

Hik8・RpaAが制御するシアノバクテリアpsaA遺伝子の光・レドクス調節機構
*緑川 貴文成川 礼池内 昌彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0459

詳細
抄録
シアノバクテリアは光環境に応じて遺伝子発現を制御し、PSI反応中心タンパク質をコードするpsaAはその主要な標的遺伝子の一つである。以前われわれはレスポンスレギュレーターRpaAがpsaA遺伝子上流配列に特異的に結合しうることを報告した。Synechococcus elongatusではRpaAが概日リズム依存的にヒスチジンキナーゼSasAによりリン酸化されること、SynechocystisではHik8 (SasA) が従属栄養時に糖代謝関連遺伝子群の発現に関与することが報告されている。本研究ではSynechocystisを用いてグルコース及び光応答時のpsaA発現におけるRpaAの関与を検討した。psaAの発現は暗所で停止し、光照射またはグルコース添加により誘導されるが、rpaA破壊株やhik8破壊株では誘導時の転写活性が顕著に低下していた。転写誘導は電子伝達鎖阻害剤により抑制されたことから、電子伝達鎖のレドクス状態に応答してHik8-RpaAを介したpsaA誘導がおこることが示唆された。一方、RpaAの結合が上流配列にみられないPSIIアンテナタンパク質cpcBやHik8による制御が報告されている解糖系遺伝子の発現にもrpaA破壊の影響があらわれたことから、RpaAは間接的な発現制御にも関与すると考えられる。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top