日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネの節で高発現するOsNramp3の機能解析
*山地 直樹夏 継星佐々木 明正馬 建鋒
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p. 0557

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抄録
イネ科植物の節はミネラルの選択的分配に重要な役割を果たしており、我々はイネのケイ酸輸送体Lsi6の解析を通じて節におけるケイ酸の維管束間輸送が特に穂へのケイ素の高蓄積に重要であることを明らかにしてきた(Yamaji and Ma, 2009)。節で発現している他のミネラルトランスポーターを同定するために、我々は節のマイクロアレイ解析を行った。ここではそのうち、OsNramp3の機能解析について報告する。
Nramp型の輸送体は細菌から動植物まで広く存在し、主に二価金属イオンを輸送することが知られている。OsNramp3は主に節において高い発現を示し、免疫組織染色ではケイ酸輸送体Lsi6と同様に肥大維管束周縁部の木部転送細胞に局在していた。GFP融合遺伝子を一過的に導入したタマネギ表皮細胞では主に細胞膜への局在が観察された。OsNramp3を酵母に発現させたところ、酵母変異体smf1のマンガン欠乏を相補し、カドミウムおよびアルミニウムの吸収には影響しなかった。T-DNA挿入による遺伝子破壊イネを用いた予備実験の結果、破壊株ではMn欠乏条件において葉身の黄化と根の生育不良が観察された。またポット土耕栽培においてもMn含量が葉身で低下、籾殻で上昇し、さらに稔実歩合が著しく低下した。今後RNAiによる発現抑制株を作成し、より詳細な生理学的解析を行う予定である。
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© 2011 日本植物生理学会
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