抄録
我々は、ササゲの耐暑性に生殖器官へのプロリンの蓄積が重要な役割を果たす事を明らかにし、その蓄積にはプロリン合成関連遺伝子及びプロリン輸送関連遺伝子の発現が関与する事を示してきた。そこで、ササゲのプロリントランスポーターVuProT1及びVuProT2の機能を明らかにする事で、輸送遺伝子の発現とプロリンの蓄積との関連を解明しようと試みている。
VuProT1遺伝子の発現は花で多く、生殖器官へのプロリンの蓄積への関与が期待されたが、全長cDNAのクローニングでは開始コドンATGが見つからなかった。ダイズの遺伝子を参考に、5’末端のシークエンスを解析した所、ATG(M)がGTC(V)に置き換わっていた。イーストのプロリントランスポーター欠損変異株22574dを用いて相補実験を行った所、GTCをATGに置き換えたVuProT1-long、VuProT2、アラビドプシスAtProT1を導入したイーストはプロリン及び4-aminobutyrate (GABA) を輸送できたが、最初のATGを欠損したVuProT1-shortでは輸送出来なかった。培地のpHを4.4から6.6へ上げるとVuProT2導入イーストのみ成長できたことから、VuProT2が他のトランスポーターとは異なる機能を持つ事が推察された。
現在VuProT2遺伝子を導入した形質転換タバコの解析を行っている。